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げんげ [俳句]

 5月も中旬となり,笠間市内ではほとんどの田んぼが田植えを終えたようです。
 今月初め,田起こしされる前,あるいは休耕田の一部で,レンゲソウ(蓮華草)が咲いているのを見かけました。
 このレンゲソウ,春の季語ではげんげ(紫雲英)とも言います。14年ほど前にこのような俳句を詠んでおりました。

  げんげ田に寝ころび しばし少女かな
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 【みなと】が幼かった頃,家の周りにレンゲソウ畑がたくさんありました。学校帰りに寄り道して,仰向けに寝転んで空を見上げたり,花を摘んで冠を作ったり…一面をピンクに染める花々を見つけると,今でも同じことをしたい衝動に駆られます。

 ところで,この句のもととなった短歌があります。石川啄木・作『一握の砂・悲しき玩具』に掲載されています。

 不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし十五の心
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 こちらは国語の教科書にも載っていましたので,ご存知の方も多いでしょう。
 幼いながらも将来のことを考えてみて,ちょっと不安になった。でもそんな気持ちも,快晴の空を眺めていたら忘れていた…個人的にはそんなイメージを描いています。
 読み返すたび,青春時代の甘く切ない気分がよみがえります。
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卒業 [俳句]

 本日から3月になりました。茨城県内の公立高校では,毎年3月1日に卒業式を執り行うことが多いようです。
 今回はこの「卒業」で詠んだ俳句を掲載。春の季語であり,今から13年前に作りました。

 微笑みて今日卒業す 君からも
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 卒業と言うと,申し上げるまでもなく,学校や教師,友人達との別れの儀式。寂しくもあり,しかし新たな出会いの可能性も秘めていますね。そんな期待を込めて,まだ早いですが桜の写真をアップしてみました。
 この句では,片想いの人の背中に語りかけている様子を思い描いていただけると幸いです。

 ところで,卒業をイメージする歌,皆様もいろいろお持ちのことでしょうが,【みなと】は中学生のころに聞いた,松田聖子の「制服」が大好き[るんるん]
 あれから30年近く経ちますが,聖子ちゃんの澄んだ歌声とともに,ピュアな少女の気持ちに戻れる曲[揺れるハート]
 ユーチューブのアドレスを掲載しておきますので,皆様も是非お聞きください。

  松田聖子・制服(歌詞付き) http://www.youtube.com/watch?v=3K6uC515cPw

   同(聖子の写真いろいろ) http://www.youtube.com/watch?v=ju4dXNlXHuM
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息白し [俳句]

 立春から2週間以上経過し,日中は暖かいものの,朝晩はまだ寒い日が続いております。
 さて,本日の俳句も冬の季語で作りました。「息白し」です。

  語り継ぐ殉教の史よ 息白し
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 今から13年ほど前,島根県津和野町を訪れた時のこと。繁華街から少し離れた乙女峠(おとめとうげ)と言う場所に案内されました。
 同行者はクリスチャンで,この地で起きた事件について語ってくれました。

 時は幕末。黒船を初めとした外国船の来航により,徳川幕府は鎖国政策を転換。外国人が居留地でキリスト教の教会を建てることについては公認されたものの,日本人に対しては依然として禁教令が布かれていました
 そんな中,いわゆる「隠れキリシタン」が,長崎の教会で外国人宣教師に対し命がけで自身の信仰を告白。日本人の中に秘かにカトリック系統の教えが受け継がれていたことを,世界が驚きをもって知ることになりました。
 しかしながら幕府は,キリシタンを認めず弾圧する方針を決定。長崎県浦上の信徒達は次々と津和野の乙女山・光淋寺(今は無い)に送られ,日々拷問にかけられます。
 やがて明治となりましたが,新政府も同様な態度をとり,乙女峠では多数の殉教者および棄教者を出すことに
 しかし,このやり方は諸外国から非難の的となり,近代化を目指す日本政府は方針転換を迫られ,禁教令が解かれます。5年にわたる迫害を生き延びた浦上の人々は,何とか故郷に帰ることができました。
 時は流れ昭和23(1948)年,津和野カトリック教会の岡崎祐次郎神父(ドイツ国籍から帰化)がこの地に記念聖堂(マリア堂)を建設。さらに年月を重ねて周辺の地に芝を生やし桜やつつじを植えて美しい聖地となり,「乙女峠まつり」が毎年5月3日に行われるようになった…とのこと。

 同行者は話しながら涙を流していました。【みなと】もつられて泣きました。11月下旬でしたが,とても寒く,吐く息が白かったことを今でも覚えています。
 このような悲惨な出来事が,忘れ去られ繰り返されることの無いよう,いつまでも語り継いでいただきたいものです。

 乙女峠に関する歴史は津和野町のホームページのほか,永井隆・医学博士(1908-1951)の著書『乙女峠』にも詳しく書かれています。写真は,長崎市にある原爆資料館の売店で見つけ購入した本。
 永井先生はクリスチャンであり長崎で被爆なさった方。読むたび胸が熱くなる内容ですので,皆様も機会がありましたらご一読くださいませ。

  乙女峠とマリア聖堂(津和野町HPから)
   http://www.tsuwano.ne.jp/town/modules/smartsection/item.php?itemid=128
  永井隆(ウィキペディア) 
   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E4%BA%95%E9%9A%86_(%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E5%8D%9A%E5%A3%AB)
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マスク [俳句]

 久しぶりに俳句をアップいたします。
 冬の季語に「マスク」があります。インフルエンザの流行などもあり,最近はマスクをしている人をよく見かけます。

 告げられし愛の言葉は マスク越し
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 今から14年ほど前,このような句を詠んでおりました。
 マスクで顔を被い,眼だけをキラキラ[ぴかぴか(新しい)]ウルウル[目]させながら愛の告白[揺れるハート]何だか効果がありそう,と考えました[わーい(嬉しい顔)]万が一「お断り」を受けても,恥ずかしい表情を見せずに済みますし[ふらふら] 
 しかし現在では,「直接想いを伝える」というのはあまり行われないとか。そうなると,「マスク越し」などめったにないのでしょうね[もうやだ~(悲しい顔)]
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寒さ [俳句]

 先日,来年のスケジュール表を購入しました。大きさはA5,薄手でも書き込むスペースがたくさんあるものを選びました。
 さて,今から13年前,この「スケジュール」で俳句を詠んでいました。

 スケジュール 余白埋まらぬ寒さかな
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 季語は「寒さ」で冬になります。
 当時の【みなと】は「スケジュール表にたくさんの予定を入れておかないと不安」と感じており,休日も無理やり用事をつくって外出していました。そうしないと,世の流れから置いてけぼりを食ったような強迫観念に悩まされたりして。同じように感じていた方もいらっしゃるのでは?
 実は今でも,休日は頻繁に外出しています。理由は,ブログのネタを見つけるため,お気に入りの場所を見つけるためですので,楽しんでおりますが[わーい(嬉しい顔)]

 新しいスケジュール表,余白だらけです。まあ,買ったばかりですから。
 これから約1年,どのような予定で埋まっていくかも楽しみです[かわいい]
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竜胆 [俳句]

 【みなと】家の庭で現在,竜胆(りんどう)が盛んに咲いております。母が株を購入し植えたのですが,条件が良かったらしく,歳月を重ねて数が増えました。
 朝早くは花を閉じており,日が差し込んでくると開くようです。気温の変化も影響しているのでしょうか。
 そのような姿から「はにかみ」という言葉を連想しました。自己主張する人が多い現代,もう死語かもしれませんが… 

 はにかみてくれし竜胆 婚約期
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 夫婦が恋人同士だった時期,男性から女性へ花を贈った状況をイメージしました。彼女の誕生日ばかりでなく,初めて出会った日,初めてデートした日などを記念日にして・・・
 しかし,結婚して何年もたつうちに,そのような習慣は廃れてしまうことでしょう。もちろんずっとラブラブ[揺れるハート]のカップルもいらっしゃるのでしょうが。
 来る11月22日は「いい夫婦(1122)」の日。婚約時代を思い出して,奥様に花束をプレゼントなさってはいかがでしょうか?「花より団子」とおっしゃられた場合には,もちろんそれなりの品を…???
 
 ちなみに竜胆の花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」だそうです(ウィキペディアから)。
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夜長 [俳句]

 今日は「文化の日」。秋分の日から1か月以上たち,これから冬至に向けて昼は短く,夜は長くなっていきます。夕暮れの到来がどんどん早くなることでしょう。
 秋の季語に夜長(よなが)があります。 
 夜が長いとなかなか寝付けない,あるいは早く眼が覚めてしまう,と言った方もおいででしょう。
 【みなと】はそのような時,イヤホンをセットしてCDをかけます。特にバロック音楽(ヨーロッパにおける17世紀初頭から18世紀半ばまでの音楽)を繰り返し聴いているうちに,目が覚めたら朝,と言うことが多いですね。

 バロックの響(ひびき) 長き夜過ぎにけり
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 お気に入りの曲はヨハン・セバスチャン・バッハの『ブランデンブルグ協奏曲第3番第1楽章』。バイオリン,チェロとチェンバロのハーモニーが,心地よい眠りにいざなってくれます。
 タイトルだけではピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。ユーチューブのアドレスを掲載しておきますので,よろしかったらお聴きください。

  http://www.youtube.com/watch?v=hZ9qWpa2rIg (演奏会の映像) 

 J・S・バッハの曲をもうひとつ。『G線上のアリア』です。こちらのほうが有名ですね。すぐに「あゝ,これか」と思われるでしょう。

  http://www.youtube.com/watch?v=E2j-frfK-yg

流れ星 [俳句]

 タイトルをご覧になり,月9ドラマの話題と思われた方へ。申し訳ありません,今回のテーマは俳句です[もうやだ~(悲しい顔)]秋の季語になります。
 流れ星と聞くと,「しし座流星群」を思い浮かべます。ウィキペディアによると「毎年11月14日頃から11月24日頃まで出現が見られ、11月17日頃に極大を迎える」とのこと。
 10年ほど前の11月中旬,夜中の2時から3時にかけて,東の空に絶え間なく星が流れていたのを,寒さをこらえながら眺めた記憶があります。おそらく2001年だったと思いますが…

 打ち明けし恋の行方や 流れ星
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 片想いの人に告白した結果が上手くいくよう流れ星に祈った,という情景。この句は1997年に作りました。

 そして,最近詠んだものがこちらです。
 流星や 愛に悩みし日日 一寸
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 「恋の成就を流れ星に祈ったりして,アタシも若い頃はカワイイとこあったものね。愛とか恋とかで悩むなんて,長~い人生のほんの一瞬なのよね」・・・と,解説は桃井かおりさん口調にしてみました。

 ところで,今回アップしたしし座流星群の写真,「天文ギャラリー」というホームページから,中村繁夫様及び山口岳彦様のものをお借りしました。他にも素敵な流星写真が満載ですので,よろしかったらご覧ください。

  2001年しし座流星群ギャラリー(1) (Astro Arts)
   http://www.astroarts.co.jp/gallery/meteor/leo/2001leo/1/index-j.shtml
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渋柿 [俳句]

 実りの秋,収穫の季節を迎えました。と申しましても,夏の猛暑のせいで例年になく不作になっているようで心配です。
 秋の代表的な果物のひとつに柿があります。栄養価が高く,「柿が黄色くなると医者が青くなる」と言うことわざもあるそうですね(一説によると「リンゴが赤くなると・・・」らしいですが)。
 しかし【みなと】は,柿はあまり好きではありません。もしかしたら幼い頃,渋柿を口にしたせいかもしれません。
 今回は,この渋柿で句作いたしました。

 渋柿や 父息災の長き文(ふみ)
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 実家から送られてきた柿の中に,父親からの手紙が同封されていた。しかし,柿は全部渋柿で,おまけに父の文章も長々と説教調で書いてある。でも,元気な様子だし,書いてあることも正論だから,まぁ仕方ないか・・・という状況を想像しながら詠んでみました。
 渋柿も,皮をむいてしばらくつるせば,粉をふいて甘くなるとのこと[ムード]
 また秋の季語には「新渋」「渋取り」もあります。渋も何かと役に立つようですね。
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九月尽 [俳句]

 本日は太陽暦で10月14日,旧暦(太陰暦)では九月七日となります。
 秋の季語に九月尽(くがつじん)があります。『季寄せ』(角川書店編)を見たところ,「陰暦九月の末日,秋の終わる日」と書かれていました。今年の太陽暦では11月5日にあたります。

 今から13年前の話になりますが,11月下旬に所用で中国地方に出かけ,夜は山口市の湯田温泉に宿泊しました。
 その時に観光したかった場所が「中原中也記念館」と「山口サビエル記念聖堂」でしたが,中也記念館は休館日,サビエル聖堂は修復中で,残念ながらどちらにも行けませんでした。
 それでも次のような句を詠みました。

 サビエルの鐘高らかや 九月尽
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 「サビエル」とは,公式には日本に初めてカトリックの教えを伝えた聖フランシスコ・サビエルのこと。
 日本史では「ザビエル」とにごった方で学習なさった方が多いでしょうが,山口カトリック教会のホームページでは「サビエル」となっておりましたので,【みなと】もそのように訂正しました。こちらの方がスペイン語の発音にも近いと思われます。
 教会HP(サビエルの年譜)によると,「1549年に鹿児島,1950年11月初旬山口へ到着し,1951年2月17日山口を発つ、厳冬の中岩国までの徒歩の旅。」となっています(一部修正)。旧暦で11月というと真冬にあたり,サビエル様も布教活動でご苦労なさったものと推察いたします。

 【みなと】の句は,澄み渡った秋空の下,教会の鐘がどこまでも響き渡る,どちらかというとヨーロッパをイメージしながら作りました。明日からはカレンダー上も本格的な冬が到来する,やや寂しく感じる気持ちも込めて。

 上の写真,ウィキペディアと教会HPからお借りしたもので,左が新しい記念聖堂,右がそれ以前のものです。旧聖堂は1991年9月に火災にあって消失,新は1998年4月に竣工したとのこと。
 旧聖堂の歩みが,何となくキリスト教受難の歴史と重なって感じられました。

 ところで,にごった方の「ザビエル」について少々。鹿児島や平戸には「ザビエル教会」があります。
 また『ザビエルの鐘』と言うタイトルの歌謡曲があってビックリ!インターネットで検索するまで,この歌の存在を全く知らなかったものですから…
 ためしに聞いたところ,哀愁のこもった昭和の歌曲。これぞまさに日本的と言えますでしょう。皆様もよろしかったらお聞きください。
  ザビエルの鐘:青木光一 (ユーチューブから) http://www.youtube.com/watch?v=5a4AYEQeIdM

  山口サビエル記念聖堂(山口カトリック教会)  
    http://www.xavier.jp/index.html
  中原中也記念館  
    http://www.chuyakan.jp/00top/01main.html
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